生まれたばかりの赤ちゃんは、自分の首を支えることもできません。
けれど、3歳になる頃までには、立って、歩いて、走ることもできるようになります。
スプーンやフォーク、はさみなどの、道具も使えるようになります。
子どもをよく観察してみてください。
発達するために、子どもは動きたがっています。
バランス感覚や指先の器用さは、その動きをどれだけ経験したかによって決まるのです。
たとえば、わたしたちがはじめてのスポーツに挑戦してみたとき。
最初は思った通りに身体を動かしたり、タイミングを合わせたりすることが難しくても
何度も同じ練習を繰り返すうちに、うまく身体を動かせるようになってきます。
脳はまず、さまざまな神経回路を使って司令を出し、運動を実現させようと試みます。
そして、試行錯誤によって最も効率的なパターンを突き止め、それを強化して安定させるのです。
繰り返すことによって動きは迷いなく早くなり、ぎこちなかった動作は洗練されていきます。
子どものために自由に動き回れる空間と、大人の手を借りずに自由に扱えるものを準備しましょう。
テレビやタブレットから、二次元の情報を受動的に受け取るだけでなく
自ら手を伸ばし、動いて、探索しながら、そのものを感じて対象を認識することは
子どもの認知の過程において、不可欠なのです。
そして、「なんだろう」「おもしろそう」「やってみたい」などの
意志や意識的なこころの働きが生じて、自ら動いてそれを実現させることは
子どものこころと知性の発達に、大きく結びついています。
子どもがおもしろそうと感じ、手を伸ばすものは、時々で変化します。
なぜなら、発達の段階によって獲得するべきことは変わり
そのために必要となるものが違うからです。
子どもは自分の発達のために、何が必要かを知っています。
子どもが求める発達に見合った環境と、発達段階に応じた大人の関わりが重要です。
安全な道具と空間、時間
そして観察と知識によって与えられる適切な大人の援助があれば
発達のエネルギーは活動を通して自己実現を可能にし
やり遂げた子どもに満足感と落ち着きを与えてくれます。